空撮依頼をされる際の注意点について

はじめに

昨今は、ドローンの認知度も上がってきていることもあり、度々空撮依頼をいただいております。

ただ、まだまだドローンに関する法律・規制等が世間一般的に知られていないいないこともあり、お客様の想定している撮影が行えない場合も起きています。

ですので、このページにてドローンを使った空撮はどのような状況下では使用できないのか、またどのような撮影であれば実現できるのかをご紹介したいと思います。

 

もくじ

  1. ドローンに関わる法律・規制①<航空法>
    1. 飛行禁止区域
    2. 飛行方法
    3. 気候
  2. ドローンに関わる法律・規制②<航空法以外>
    1. 土地の所有権
    2. プライバシー
  3. どうすれば飛行できるのか
  4. 最後に

ドローンに関わる法律・規制①<航空法>


まず、ドローンを飛行させる際によくかかわってくる法律が「航空法」です。

ドローンは空を飛ぶものなので当然関わってきます。その中でも空撮依頼のお客様に知っておいてほしいのが、「飛行禁止区域」「飛行方法」です。

簡単に言うと、「ここでは飛ばしちゃダメですよ。」「この方法の飛行は危険だからダメですよ。」という法律があります。

では、どんな場所・どんな飛行がダメなのでしょうか。


飛行禁止区域


図にもあるように、「空港等の周辺の上空」「人口集中地区(DID地区)の上空」「150m以上の高さの空域」「緊急用務空域」では飛行禁止されています。

ただし、「空港等周辺」「DID地区」「150m以上」の空域においては、安全性を確保し、国土交通大臣の許可・承認を得た場合のみ飛行が可能になります。

「緊急用務空域」に関しては、原則禁止とされていますが、国・自治体等より飛行要請があった者のみ飛行させることができます。ですので、要請されていない者が飛行させた場合罰則が科せられます。


飛行方法


図にもあるように遵守しなくてはいけない飛行方法または、飛行の許可・承認がないとできない飛行方法があります。

この中で、空撮依頼で関係あるものは「夜間」「目視外」「人・建物との距離30m」「イベント上空」でしょうか。これらの飛行は国土交通大臣より許可・承認を得ることができましたら、飛行させることができます。

ただし、「夜間における目視外飛行」「DID地区における夜間飛行」など一部許可・承認を得ずらい飛行方法もあります。

 


気候


航空法上、雨や雪・風の中でドローンを飛行させること自体は何も規制はないので、仮に雨の中飛行させても法で裁かれることはありません。

ただし、例外があります。

飛行させる場所によっては国土交通大臣の許可・承認を得るのですが、得る際の申請時に「飛行マニュアル」に従って飛行を行う旨を申請します。この「飛行マニュアル」上に「風速5m/s以上・雨の中・霧など十分な視界を確保できないなどの場合飛行させない」とあります。ですので、飛行申請されいる方は飛行マニュアルのルールも遵守しながら飛行させる必要があるので、もし破ると航空法違反となり、刑が科せられます。

仮に飛行申請をしていない場合でも、雨がドローンの中に入ると故障する可能性が高いので、飛行させる人は限りなく少ないと思います。

 


ドローンに関わる法律・規制②<航空法以外>


次に、航空法以外にドローンに関わる法・規律を紹介します。

ドローンを飛行・撮影するにあたって航空法はもちろん遵守しなくてはいけませんが、航空法以外の法律・規律等も守りながら行う必要があります。

ですので、航空法上問題がなくても他の法律・規律等で飛行ができない又は困難になることがあります。

では、どんな法律・規律酔って飛行ができなくなるのかいくつか紹介します。

 


土地の所有権


例えばの話になるのですが、空撮依頼である建物を撮影して欲しいという依頼があったとします。

その建物は住宅街にある場合、ほとんどの場合飛行経路は撮影する建物以外の住宅の敷地内になる可能性があるのです。その場合、飛行経路に入る周辺のご自宅にドローンがご自宅の上空を飛行する旨をお伝えする必要があります。

もし、お伝えせずに飛行させた場合、もしかしたら不法侵入として苦情が入るかもしれません。

お伝えして、了承を得れていれば苦情もなかったかもしれないですので、飛行当日以前にお伝えするようにしましょう。


プライバシー


次にプライバシーに関してです。

これはドローンに限らず、第三者の方のプライバシーを侵すことはよくありません。ですので撮影時は画角に入らないように気を配る又は、移る余地のない飛行経路を策定しましょう。

また、顔を写したくないという方もいるかもしれません。映る方が決まっている撮影であれば問題はないと思います。ですが、イベントなど不特定多数の方がいる場合はそうはいきません。ですので、イベント情報掲示板などに「イベント時はドローンが撮影を行っています」などの情報等を公表するようにしましょう。

 


どうすれば飛行できるのか


ここまで飛行ができない方法・場所・状況を紹介してきました。

ですが、空撮依頼の多くはどこかしら航空法であったり、様々な規制にに引っかかることがあります。では、ドローン業者の方々はドローンをどのように飛行させているのでしょうか。

一つは、「国土交通大臣より許可・承認を得る」です。これまでもちょこちょこ出てきましたね。

許可・承認を得ることができたら、許可・承認を得た方法・場所であれば飛行させることができます。

ただし、お客様の要望される飛行によっては申請が通らないまたは通っても普段の申請より手間がかかるため、業者によっては追加料金が発生する場合もあります。

申請を通すためにどのような情報等が必要なのでしょうか。下記の情報が必要になります。

・飛行日時

・飛行場所および飛行経路

・補助者の配置図

・安全対策の要件

・飛行マニュアル

などがあります。

特に「飛行場所および飛行経路」「補助者の配置図」と「安全対策の要件」に関してはしっかりと準備をしましょう。

飛行させる場所・経路によっては補助者が何人必要なのか、立ち入り管理措置を講じるとしてどの範囲まで立ち入りを禁止させるのかなどの情報が必要になります。
補助者が増えれば安全性が向上するので、1~2人の補助者では飛行できないが4~5人の補助者であれば飛行が可能になる場合もあります。ただし、飛行がかかるのでご注意を。

飛行マニュアルに関しては、気候に関してのところでちょこっとだけ出てきたのですが、飛行マニュアルの準備方法は二つあります。

一つは、国土交通省が公開している「飛行マニュアル」を使用する。なかなかに飛行が制限される内容になっています。

もう一つは、飛行マニュアルを自作する。ただし、とても難しく、面倒です。ですが、作成できると少しだけですが、緩和した内容での飛行マニュアルにすることも可能です。自作される際は、国土交通省発行の飛行マニュアルを元に少し改変するようにしましょう。一文を無くすという方法は申請しても却下され、作り直してから再申請するよう連絡が届きます。

飛行日時は業者としっかりと打ち合わせをしておきましょう。「撮影日はこの日がいい」と思うかもしれませんが、雨などの不測の事態にあったときは飛行させたくても飛行できないので、予備日を設けるなどの対策をしておきましょう。

 


最後に


空撮を依頼されるお客様は、可能な限りドローンに関わる法律・規律を理解したうえで、業者に依頼されることをお勧めします。

何も知らずに依頼するともしかしたら、して欲しい撮影ができないということもありえるので、ある程度知識を持っていると業者との打ち合わせがスムーズに進めることができると思います。

また、業者にご依頼される際は見積もりを作るだけであっても「こういう風な撮影をしてほしい」という具体的な内容があることが好ましいです。ただ撮影して欲しいだけであると本当に必要最低限のお見積もりになり、具体的な内容がわかっていくと費用が膨れ上がる可能性があるので、「どこで」「何を撮影するのか(物なのかイベントの様子なのかなど)」「写真か動画か」を具体的に伝えて頂くと業者側からすると大変助かります。イベントの様子の撮影の場合、定点での撮影なのか・移動しながらの撮影なのかもお伝えいただけると嬉しいですね。